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脳神経内科で扱う主な症状病気と代表的な治療法
頭痛
一言で頭痛といっても非常に範囲が広く、まず大きくは片頭痛などの軽いものと、くも膜下出血や脳腫瘍などの深刻なものとに分けられます。また、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)が原因で頭痛が起こり、蓄膿の治療をしたら頭痛が消えた、というようなこともよく起こるケースです。
当院に頭痛で悩んで来院される患者さまに見られる病気としては、その9割程度が下記の3つに分類されます。
片頭痛
ガン、ガン、ガンと頭に響く、拍動するような頭痛。
一旦収縮した血管が開き、その開き過ぎた血管が拍動で痛むため、治療には血管を縮める作用を持つトリプタン製剤がよく使われます。あまりに頻発するようなら頭痛の発生頻度を抑えるカルシウム拮抗薬や抗てんかん薬、安定剤、トリプタン製剤の点鼻薬や自己注射、酸素を吸うなどの対応も検討します。
筋緊張性頭痛
ジワーッという非拍動性の頭痛。
鎮痛薬の服用のみで改善される方もいますが、安定剤が必要になる場合もあります。
後頭神経痛
後頭部にチクン、ツキンという瞬間的な痛みが起こる頭痛。
脳の後方表面にある皮神経が、下を向いた時などに圧迫された事によって被刺激性が上がり、電気が走るように痛みます。治療法としては投薬が基本となります。
いずれも、季節の変わり目やストレスなども関わってくるので、薬の処方とあわせて日常生活指導も行います。 これら3つの頭痛と比較してより深刻度の高い、致命的な病気にくも膜下出血が挙げられます。
くも膜下出血
頭を叩かれたような激しい痛みがずっと続く頭痛。
ほとんどの場合は動脈瘤が破れて出血し、頭蓋骨と脳の間の隙間に満たされた脳脊髄液にその血液が入ってくることで、圧力の違いにより脳が圧迫されて起こります。血圧が高い人や、近親者でくも膜下出血になった方がいる場合は当院で動脈瘤の有無を確認することをおすすめします。
頭痛の治療には投薬だけではなく多面的なアプローチが必要となります。上記の症状に当てはまる方も当てはまらない方も、気になる頭痛がある方は一度相談においでください。
めまい
めまいが起こる病気として代表的なものは良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。季節の変わり目で寒暖差が激しい時などに疲れが溜まるとくり返す方も多く見られます。BPPVの原因としては、内耳にある小さな砂粒のような耳石が本来の場所から動いてしまうことだと言われていますが、実際のところはよくわかっていません。当院では、医師が患者さまの頭を持って回転させる従来の治療法(エプリー法)とは異なり、頭を上や下に向けて三半規管を鍛える独自の方法で症状の改善を図っています。その他の治療法としては、内服薬や古くからある方法として重曹水点滴が用いられています。予防のためには、頭を上や下に動かすことを普段から何度もくり返しておくことが大切です。
BPPV以外で症状の一つとしてめまいが見られるものとしては、メニエール病、前庭神経炎、後下小脳動脈領域その他の脳梗塞、ウェルニッケ脳症など、様々な病気が挙げられます。
しびれ
しびれの症状は、まずは「動かしにくい(麻痺)」か、「感覚的な異常がある(ビリビリする、一般にしびれと呼ぶもの)」かで大きく分けられます。当院では不必要にCTやMRIを撮ることはせず、丁寧な問診を行った上で、ハンマーを使用したり、手や首を持って動かしたりすることによって診査を行います。しびれを伴う病気として多く見られるものは以下の通りです。
手根管症候群
手根管と呼ばれる手の平の付け根の部分で正中神経が圧迫されて起こります。手を使う仕事をしている方に多く見られる病気で、治療としては手をなるべく使わないようにすることと、ビタミンB12などの神経の修復を助ける薬を服用する方法を取ります。改善が見られない場合は、自己免疫疾患や甲状腺の病気などにかかっていないかを確認した上で正中神経が通る部分に注射を打ち、それでもしびれが治まらなければ整形外科での手術となります。
胸郭出口症候群
何軒も病院を回っても病名が判明せず、当院で胸郭出口症候群と診断された方が多くおられます。胸郭出口症候群は、鎖骨周辺にある「前斜角筋と中斜角筋の間」「鎖骨と肋骨の間」「小胸筋の下」のおおよそ3箇所のうちどこかで、腕神経叢と呼ばれる腕の神経が圧迫されることによって起こります。手や肩を動かして、しびれの有無や脈拍を調べるライトテストなどのテストを行い、所見を取ります。
頚椎椎間板ヘルニア
まずは首のレントゲンを撮り、さらに精査が必要であればMRIも撮影して診査診断を行います。軽度であれば首の安静、牽引療法などで対応しますが、重度の場合は手術が必要になることもあります。
もの忘れ
代表的な病気としてはアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体病、正常圧水頭症が挙げられます。その他にもパーキンソン病などの神経変性疾患による認知症、ビタミン欠乏症、甲状腺機能低下症、副腎の不全や下垂体低下などの全身疾患など、もの忘れを伴う疾患は多数あります。短期記憶障害なのか、判断力や注意力も落ちてきているのか、幻覚の有無、歩き方や動き方の変化など、付随する症状を見つけて、経過も考慮しながら検査を進めていきます。
アルツハイマーや前頭側頭型認知症であれば、易興奮性や易怒性などの症状を抑える「ドネペジル塩酸塩(商品名:アリセプト)」や「メマンチン(商品名:メマリー)」などの薬を使い、幻覚があるならそれを抑える薬も併用しながら経過を見ていきます。脳室に水が溜まる正常圧水頭症では、その水を脳室から抜いてお腹に流すV-Pシャントという手術を行うことで大きな効果が見られます。甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンを補う方法が有効です。
ご家族の高齢者の方でもの忘れが気になる時は
患者さま本人が来院を嫌がり、対応に困ったご家族の方から相談を頂くケースも少なくありません。認知症に対する決定的な治療薬はまだ見つかっていませんが、早いタイミングで相談に来ることによって進行を遅らせられるというデータもあります。「健康診断だと思って」「皆診てもらっているから」のようなお声がけで来院に前向きになることもあるので、ご家族で心配な方がいましたら、ぜひご一緒に当院へお越しください。
脳梗塞
脳梗塞とは脳の血管が詰まる病気です。大きく「細い血管が詰まる脳梗塞」「太い血管が詰まる脳梗塞」「心臓や首の血管にできた血栓(血の塊)が脳に飛んで、栓をすることで起こる脳梗塞」に分かれます。
急性期には大きい病院に入院にして血栓を溶かす薬の投与や、脳を保護する点滴を打つなどの治療を行います。その後安定してきたら、再発予防のための治療を進めていきます。心臓の中で血が固まりにくくする薬や、血の塊ができにくくなる薬、血管の詰まりを防ぐ抗血少板剤などを使用した薬物療法が中心となります。
薬を使ってのコレステロールや糖尿のコントロールも行いますが、何より重要になるのは血圧の管理です。脳梗塞の中で最も多いといわれている細い血管が詰まるラクナ梗塞は、高血圧が原因で起こることがほとんどであるためです。当院で脳梗塞が判明し、専門の病院で治療を受けた後に予防のために当院に通われているという方は多数いらっしゃいます。
脳出血
脳出血は突然麻痺が起こるという面では脳梗塞と非常に似ていますが、CTを撮ることですぐに判別できます。高齢者に起こる皮質下出血や動静脈奇形などの特殊なケースを除き、ほとんどの場合が血圧が原因となるので、血圧のコントロールをしっかりと行うことが再発を防ぐ上で重要です。日常生活の指導なども当院で行っています。
パーキンソン病
体が固くなって動きにくくなることがパーキンソン病の特徴です。治療法としては基本的には薬で症状をコントロールしていきます。次のような現象が見られた時には当院にご相談ください。
- 歩きにくくなり、転びやすい
- 寝返りが打ちづらい
- 指先の細かい動きが難しい
- 字が書きづらい
- 大きな声で喋れない
- 電話で何を言っているかわからないと指摘を受ける
- 表情が乏しくなったと指摘を受ける
パーキンソン病と症状が似通っている病気は多く、他院でパーキンソン病という診断を受けても実際にはパーキンソン病ではなかったというケースも少なくありません。例えば脳の血管が詰まることで起こる脳血管性パーキンソニズムはパーキンソン病とは似て非なるものであり、パーキンソン病の薬を服用しても効果がありません。
混同されることが多い病気のひとつである薬剤性パーキンソン症候群は薬の副作用で起こるため、原因となった薬の服用を止めることで症状の改善が見られます。同様に神経変性疾患の多系統萎縮症や進行性核上性麻痺なども区別がつきにくい病気として知られ、慎重な診査が求められます。
当院では長く脳神経内科を専門としてきた医師が、豊富な経験に基づいて的確な診断を行いますのでご安心ください。何年も病院にかからずに我慢しつづけて、動けないほど重症化してから来院される方も多いですが、パーキンソン病は薬を飲むと驚くほど楽になる病気であり、「診てもらって良かった」という喜びの声を多数頂いています。
ALS
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、手足などの筋肉がやせて力が弱くなる病気です。実際にALSと診断される方の数は年間にそれほど多くはありませんが、ALSの疑いで来院される方は一定数いらっしゃいます。ALSと症状が似通った別の病気としては同様に筋肉の萎縮が見られる頚椎症性筋萎縮が挙げられます。
てんかん
てんかんは患者数の多い神経疾患のひとつです。てんかんの症状としてはけいれんがよく知られていますが、けいれん以外にも様々なてんかん発作が見られます。数秒の間ふっと意識を失う欠神発作や、体が固くなる強直発作、また支離滅裂なことを話す、おかしな行動をするといった症状もてんかん発作に含まれ、患者さま自身がてんかんであることを気づいていないケースもあります。てんかん発作の頻度は人それぞれで、毎日起こる人もいれば年に一度程度という人もいますが、特に睡眠不足が発作を誘発することが多いため、日常生活のリズムを整えながらその方に合った薬で症状をコントロールしていくことが重要です。
めまいが起こる病気として代表的なものは良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。季節の変わり目で寒暖差が激しい時などに疲れが溜まるとくり返す方も多く見られます。BPPVの原因としては、内耳にある小さな砂粒のような耳石が本来の場所から動いてしまうことだと言われていますが、実際のところはよくわかっていません。当院では、医師が患者さまの頭を持って回転させる従来の治療法(エプリー法)とは異なり、頭を上や下に向けて三半規管を鍛える独自の方法で症状の改善を図っています。その他の治療法としては、内服薬や古くからある方法として重曹水点滴が用いられています。予防のためには、頭を上や下に動かすことを普段から何度もくり返しておくことが大切です。
BPPV以外で症状の一つとしてめまいが見られるものとしては、メニエール病、前庭神経炎、後下小脳動脈、頚椎症性脊髄症、ウェルニッケ脳症など、様々な病気が挙げられます。